法人税の負担が減る?分社のメリットとは

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こんにちは!

経営者保険プランナー 相続診断士の肥後です。


安倍首相は、消費税の10%引き上げを

予定より1年半先送りにすることを表明し、

来月には解散総選挙が行われることが決定しましたね。


師走の選挙ということで、

例年より慌ただしい年末となりそうですが、

引き続き今後の動向に注目していきたいところです。


前回まで「役員退職金」をテーマにしてきましたが、

今回は「法人税」について書いてみたいと思います。



<目次>
・利益の額によって差がある 法人の実効税率
・分社で納税額をおさえる?
・おわりに



✔利益の額によって差がある 法人の実効税率



現在、日本の法人の実効税率は約36%といわれています。

法人にかかる税には、法人税と地方税があり、さ

らに地方税は、法人住民税・法人事業税・地方法人税から成ります。


上記すべてを合計した税率は東京都の場合、現在約38%です。


法人事業税などは払った税金が翌年の損金になりますので、

その分税金が減ることを考慮した実質の税率を「実効税率」と呼んでおり、

これが約36%となるわけです。


ただしこの税率は課税所得800万円超の部分に適用されます。

では800万円以下の部分の実効税率はどうかといいますと、

400万~800万円までは約23%、

400万円までは約21%となっています。


利益(課税所得)の額によって税率がだいぶ違うことが分かります。

この税率の格差をうまく活用することで、

納税額を低く抑えることができます。



✔分社で納税額をおさえる?



私どものお客様でも会社をいくつかお持ちの経営者の方が結構いらっしゃいます。


例えば本業の利益が毎年約2千万円、

不動産収入が毎年約1千万円で合計約3千万円の税引き前利益の会社の場合、

不動産事業を分社すれば納税額は下がります。


現状ですと、

400万円×21%=84万円 

400万円×23%=92万円 

2200万円×36%=792万円

合計約968万円の実質納税額。

利益に対する税金負担率は約32.3%です。



これを分社することで

A社(親会社)

400万円×21%=84万円 

400万円×23%=92万円 

1200万円×36%=432万円

合計約608万円の実質納税額。


B社(不動産事業の子会社)

400万円×21%=84万円 

400万円×23%=92万円 

200万円×36%=72万円 

合計約248万円の実質納税額。


A社とB社の合計で約856万円の実質納税額ですから、

100万円以上も納税額を減らせる形になります。



✔おわりに



もちろん会社設立には費用がかかりますが、

それは設立時一回きり、

上記の節税は利益が安定的に出続ければ毎年のことです。


さらに親会社に、いくつかの事業があったり、

工場がいくつかあったりした場合、

それぞれに分社することでさらに節税効果を出すこともできます。

どの部門が会社の収益に貢献しているかもより明確になります。


一度皆様の会社でも検討してみてはいかがでしょうか?

会社をいくつか持つことは、

前回までの「役員退職金」支給に際しても有利に働きます。

これについてはまた次回に書いてみたいと思います。