M&Aと社長の退職金のタイミングとは?

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こんにちは、経営者保険プランナー、相続診断士の伊藤です。

先日、人生で初めてゴルフの打ちっぱなしに行ってきました!

最初はクラブをボールに当てることで精一杯でしたが、

ボールがうまく飛ばせるようになると、気持ちが良いものですね!

憧れのコースデビューを目指して、引き続き練習をがんばりたいと思います。


さて、最新の帝国データバンクの調査では、

国内の3分の2にあたる企業が後継者不在に頭を悩ませているということで、

オーナー社長にとって重大な関心事の一つといえます。


そんななか、会社の存続・発展のための方法のひとつとして、

M&Aを選択される方が増えてきています。


これまでM&Aといえば、大企業だけの話であるとか、

企業の乗っ取り、という悪いイメージが持たれていたこともありましたが、

最近では、企業の規模や業種を問わず、

有効な経営戦略の一つとして、積極的に活用され始めています。


M&Aを行うことによって、

売り手の企業は従業員の雇用の確保、企業体質の強化、

買い手の企業は事業規模の拡大、事業規模の拡大といったメリットがあります。


ところで、M&Aを活用した会社の売却を検討している社長から、

その際、同時に退職金の支給をすべきかどうかご質問を頂く機会があります。

今回はその点についてお話します。



<目次>
・M&Aを行うとき退職金の支給をすべきか?
・社長の手取り額はどれくらい変わる?
・おわりに



✔M&Aを行うとき退職金の支給をすべきか?



まずM&Aで会社を売却するときには、

譲渡代金のすべてを金銭で受け取るケースと、

オーナー社長への退職金を先に受け取って、

残りを譲渡代金で受け取るケースがあります。

後者の方法は、売り手企業にとっても、

買い手企業にとってもメリットがあります。



【退職金支給のメリット】


①売り手企業のオーナー社長

譲渡代金の全部を株式譲渡の代金とするより、

一部を退職金として受け取った方が、

個人の税負担は少なくなります。


②買い手企業

退職金は会社の経費となりますので、

法人税等の額が少なくなります。


退職金を活用することにより、

オーナー社長の手取り額を増やすことが可能です。


ただし、勤続年数や支給額によって控除額や税率が変わるので、

譲渡代金とのバランスを取りながら、

最適な退職金額を決定していくことが必要になります。



✔社長の手取り額はどれくらい変わる??



M&Aの際に退職金を活用した場合、

売り手のオーナー社長の手取り額がどう変化するかについて、

一例を紹介します。


【例:譲渡総額2億円、株式取得価額1,000万円、勤続30年の場合】


①全額を株式譲渡代金とした場合の手取り額

譲渡代金:2億円

税金:3,800万円(=(2億円-1,000万円)×20%)

手取り:1億6,200万円


②一部を退職金とした場合の手取り額

譲渡代金:2億円=株式譲渡代金1億6,000万円+退職金4,000万円

税金:株式譲渡3,000万円+退職金384万円=3,384万円

手取り:譲渡代金1億3,000万円+退職金3,616万円=1億6,616万円


このように退職金を活用した場合の方が、

416万円手取り額が大きくなります。



✔おわりに



近年オーナー経営者の事業承継のかたちは、ますます多様化しています。

M&Aを一つの選択肢として検討されている場合は、

上記のような点も踏まえながら準備をしておくことが大切だといえるでしょう。