一括償却を活用したからといって自社株評価は下がらない!?
みなさんこんにちは。
経営者保険プランナーの橘田です。
毎期、安定的に利益が出ている企業様にとって、
決算が近づくと「利益を圧縮したい」
と考える経営者様は多いのではないでしょうか。
ここ数年は、「太陽光設備での即時償却」を行うことにより、
利益を圧縮した企業も数多くいらっしゃると思います。
これと同様に、大きな注目を集めたのは、「生産性向上設備投資税制」です。
今回は、株価評価を下げる目的で、
利益を圧縮する際の注意点をお伝えいたします。
・自社株価評価での注意点
・会社規模によって効果が異なる!?
・おわりに
自社株価評価での注意点
「株価の評価を引き下げる」という目的で利益を圧縮する法人は多いようです。
先日、お会いしたお客様の事例をご紹介します。
そのお客様は、税引前利益が毎期4,500万円くらいでした。
生産性向上設備投資税制を使い、その期の利益を0にしたところ、
自社株価額が5分の1ほどになったとのことでした。
低くなった自社株評価額で、お父様から社長へ株を移動したところ、
税理士より、「株価計算において一括償却を加味した評価額が認められない」
と注意を受けたそうです。
会社規模によって効果が異なる!?
ご存知の方も多いと思いますが、
自社株の評価方法は「類似業種比準価格方式」と「純資産価格方式」があります。
法人税法上、一括償却により大きな損金を作ることが可能です。
従って、「類似業種比準価額方式」の計算で株価が低くなるケースは多いです。
しかし、「純資産価額」での評価の際は注意が必要です。
相続税法第22条(評価の原則)によると、財産の価値は時価によるものとし、
純資産の評価部分については、相続税法における財産の評価額となります。
財産評価基本通達では、動産は原則売買実例価額など又は償却費の合計額または、
原価額を控除した金額によって評価すると定められていて、
償却費の額の計算も「定率法」と定められています。
つまり、特別償却を考慮しておらず、財産評価額として
「一括償却を加味した評価額が認められない」ということになります。
先ほどの事例の会社の場合、
自社株評価をする際の会社の規模判定は「中会社の中」でした。
(類似業種比準価格方式75%、純資産価格方式25%)
類似業種の割合が高い法人であれば、株価圧縮の効果は大きいと言えます。
一方、純資産の割合が高い会社であれば、株価があまり下がらないケースもあります。
おわりに
今回のように、利益を圧縮し、株価の引き下げ対策を行っている企業は多いと思います。
自社株の評価方法に「純資産価額」を含む場合は、
必ずしも評価を下げる手段とならないため、注意が必要です。
弊社では「将来株価シミュレーション」というサービスを行っております。
利益を0にした場合やマイナスにされた場合に、
どのくらい株価が下がるのかを確認されたい方は、
この機会に是非、お気軽にお問合せください。
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