金庫株にするときの課税関係について

150630

こんにちは、カレー好きの東京会計パートナーズの島崎です。


最近、カレーを作っていないので

ダールカレー(インドの豆のカレーです)を作ろうと思っています。


オーナー社長が引退するとき、後継者が社長の株を買い取るお金がなく

いったん、会社に株を買い取ってもらい、金庫株にするケースがあります。


この金庫株にしたときの課税関係の主な取扱いについてお話します。




<目次>
・時価で個人の株を会社に売却したときの課税
・みなし配当の特例が適用される場合について
・おわりに




☑時価で個人の株を会社に売却したときの課税


例えば1株の取得価格が1万円として時価が5万円、

そのまま5万円で1,000株を譲渡した場合、

買主である法人への課税関係は特に生じません。

従いまして1,000株であれば法人は5,000万円のキャッシュが必要です。


売主である社長個人に関し、取得価格と時価との差額、

つまりこの場合1株あたり、4万円となります。


一部は譲渡所得になる場合もありますが、ほとんどみなし配当として総合課税となります。

総合課税で50%の税率だとすると1株あたりの税金は2万円、1000株で2,000万円です。


1,000株を会社に売却したのであれば個人の手取額は

売却額 5,000万円 - 税金 2,000万円 = 3,000万円  となります。


これなら低い税率の退職所得でできる限り多額の退職金を取ったほうが良いと

思われたのではないでしょうか。




☑みなし配当の特例が適用される場合について


総合課税では面白くないオーナー経営者の方も多いでしょう。

単なる会社への売却では留保利益相当部分について

みなし配当総合課税がかかります。


しかし、相続財産にかかる株式を発行した非上場会社に譲渡した場合の

『みなし配当の特例』が適用される場合は、申告分離課税となります。


その特例が適用される主なケースは


●当該株式を『相続・遺贈により取得』して相続税を納めるべき個人が、

相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに発行会社へ譲渡した場合


●当該株式を『相続時精算課税制度にて特定贈与者からの贈与により取得』し、

相続又は遺贈により非上場株式を取得した者とみなされる個人が、

相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに発行会社へ譲渡した場合


●当該株式を『贈与税の納税猶予制度により取得』し、

相続又は遺贈により非上場株式を取得した者とみなされる経営承継受贈者が、

その贈与者死亡により発生した相続において、

相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに発行会社へ譲渡した場合


となります。




☑おわりに


ここでは割愛しておりますが、金庫株を時価でなく低額で譲渡しようとすると

また別の問題が発生してきます。


例えば、他の株主との間に課税関係が生じる場合があります。


従いまして金庫株の活用にはみなし配当の特例を検討したり、

専門家とよく相談の上ご利用ください。